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~賃貸~ 退去時トラブルとその対策

はじめに

ホームページをご覧いただきありがとうございます。

 

今回は賃貸物件の退去時トラブルがテーマとなります。

 

 

賃貸での暮らしには必ず”退去する時”が訪れます。

 

一般的な賃貸契約(普通借家契約)ですと、契約をして2年後に更新するか退去するか選択していただくケースが多いです。もちろん職場の転勤や学校の卒業など2年ちょうどのタイミングではないこともあります。

 

また、定期借家契約の場合は「20××年○月までの契約」というような期間が定められており、期限が訪れて更新できるケースと更新できないケースもあります。

普通借家と定期借家の割合

※国土交通省が平成24年に出した住宅市場動向の報告書より

 

どちらの契約にせよ、繰り返しになりますが賃貸は退去をする時が訪れます。

 

そしてトラブルの多くがこの退去時に起こるものです。

 

では、なぜトラブルが起きてしまうのでしょうか?

 

敷金

トラブルの1番の原因となるものが 敷金 です。

 

敷金は礼金と違って退去する時に全額戻ってくるお金(=担保として預けておくだけ)と認識されている方もいらっしゃると思います。

 

インターネットで”敷金”と検索すると

・部屋を借りる人が持ち主に預けておくお金

・取引の保証のため預ける証拠金

などと掲載されていることが多いです。

 

こうしたこともあり敷金は初期費用を大きく左右するものでありながら礼金よりも軽視されがちです。

 

・家賃を滞納してしまった

・部屋の設備を壊してしまった

時の担保としてのお金であり、何もなければ戻ってくるお金であることは間違いありません。

 

しかし逆に言えば何かあれば交換や補修で敷金が使われるということになります。

※交換や補修等をまとめて原状回復といいます

 

そしてそういった際に話が違うとして貸主・借主・管理している不動産会社間でトラブルが発生することがあります。

 

原状回復

生活していればお部屋の様々な箇所に傷や汚れができます。

 

キッチンの油汚れ、壁紙の破れ、畳の変色 etc.

 

原状回復は次の入居者が住むことができるように回復することを指します。借主が原状回復の負担を負う際は敷金からお金が使われることになります。

 

そして原則として借主は清算して残った分の敷金を返還してもらうことができます。しかしながら原状回復費用が敷金では賄いきれない時は借主に追加徴収することになります。ここでお金が戻ってくるものだと思っていたのに逆に費用を請求されたらトラブルを回避するのは難しいかもしれません。

 

借主も次の引越し資金や家具・家電の購入費用のためにある程度の計画を立てていますから話が違うと感じてしまうのも分かります。

 

それでは、賃貸物件に住んだら敷金は結局原状回復費用で全額使われてしまうのでしょうか?

 

費用負担の線引き

敷金全額が現状回復に充てられてしまうかの答えはYesでもNoでもありません。

 

お部屋の傷や汚れは暮らし方によって大きく変わります。原状回復は入居する前の状態に元通りにすることではありません。あくまで原状回復は

 

通常使用する以上に傷や汚れができたら借主負担となるものです。

 

では、どのような時に借主負担となるのでしょうか?

 

修繕費用の線引き

 

通常の使用による汚れ等は消耗品なので当然のことであり基本的には借主の負担対象とはなりません。

 

退去時の貸主・借主費用負担例

 

図のように、通常の使用をせずに設備を故障させてしまったり汚れを放置してしまったりすると借主の負担となります。

 

また、借主負担となっても全て補修しなくてはいけないわけではありません。

退去時費用負担割合

壁紙を例にすると壁紙の小さな破損があっただけでそのお部屋全体の壁紙の補修にかかる費用を負担する必要はありません。

 

しかし、それならトラブルはそこまで起こりません。敷金が全額戻ってこないのは現状回復以外にも要因があります。

 

室内クリーニング費用

室内クリーニング費用は次の入居者が住む前にお部屋を綺麗にするための費用です。

 

原状回復とニュアンスが似ていますが違いとしては下記のようになります。

◆室内クリーニング
ほこり、窓、キッチン、洗面所等の汚れを落とす

◆原状回復
破れた壁紙の修復、設備の修理

 

室内クリーニング費用は現状回復とは異なり必ず行うものになります。この費用が敷金から差し引かれるという契約になっていれば、敷金が全額戻ってくることはありません。もっとも室内クリーニング費用は敷金0ヶ月の物件で差し引く分がなくなるため初期費用として予め支払うことが多いです。

 

対策と対応

ここまでトラブルが起こる要因として敷金が使われてしまうことを取り上げてまいりました。

それでは、対策と対応として何ができるのでしょうか?

・物件選びの時点で資料をよく読む

いくつかの物件を見学して1つを選ぶ時に間取りや家賃だけに注目せず、物件資料の小さな文字も確認しておくと退去時の費用が記載されていたりします。また、記載されていなければ聞いてみると答えも分かりますので事前の対策になります。

・契約書に目を通す

物件を選んで申込みをして審査も進みあとは契約を残すのみという時。契約時に不動産会社の方から重要事項の説明と契約書の読み合わせがあります。そこで敷金や原状回復の項目をよく読んで理解してからサインすることが重要です。説明が終わったからサインをするとその内容に対して退去時に意見を述べるのは難しくなります。

・傷やシミはすぐに連絡する

生活していて飲み物をこぼしてしまったりしてシミになることはあります。そうなった時は早めに管理会社や貸主に連絡をすると良いです。そこで自分でシミを消したほうがいいかの相談もできます。

・専門の機関に相談する

これは実際にトラブルになっている時の対応です。不当に費用を請求されているかはやはり専門の方に聞くのが早いです。場合によっては敷金を返還してもらえるケースもあります。

敷金返還請求訴状の書式例

まとめ

今年、債権法(契約やお金の支払いに関する民法の規定)を見直す法案が衆・参議院で可決しました。

 

債権法が改正されるのは実に120年ぶりのことであり、曖昧になっていた敷金と原状回復について定められますので今回触れたようなトラブルの減少が期待されています。

 

トラブルを起こさないためにも契約内容を把握して、物は大切に扱うのが1番ですね。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは今回はこのあたりで。

 

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